前回のケイジャンチキンに引き続き、今度はジャンバラヤを作る。
ケイジャン風ではなくクレオール風に仕立てようと思う。
ケイジャンとクレオール
ケイジャンは元々カナダ南東部に移住した後、最終的にニューオーリンズあたり(ルイジアナ州)に落ち着いたフランス人の末裔。
クレオールはアメリカ南部に入ったフランス人やスペイン人の末裔で、今ではケイジャンとクレオールの境界は曖昧になっているように思える。が、実際のところどうなのだろう。遠く日本からルイジアナ州の事情を見るとほぼ同一視してしまうのだが、当事者・現地民からしてみると全然違うのかもしれない。
食文化はかなり似通うが、非常にざっくりと言うならば、ケイジャンの方が田舎風、クレオールの方が都会風とされている。
また、ルーツの関係上、クレオール料理の方がスペイン・フランス・イタリアの料理文化の影響を受けている。
例えば、唐辛子を使った味付けやライスと豆・ガンボ(オクラ)を合わせた料理はスペインに影響を受けたとされている。
クレオール料理の土台にもなっている、玉ねぎ、パプリカ(ピーマン)、セロリを細かくして炒める手法はまるでフランスのミルポワのよう。
また、トマトも使う。これはイタリアに影響を受けたとされ、ケイジャン料理ではあまり見られない。
色々な国が色々な形で関り、この複雑で独特なクレオール料理は完成した。
なので、料理的には「ミルポワのような調理法を用いているかどうか」「トマトを用いているかどうか」あたりがクレオールとケイジャンの見極めに有効だと思っている。
が、実際どうなんでしょうか。
今回作るジャンバラヤには、ミルポワのような手法、そしてトマトペーストを使用するので、クレオール料理だと位置付ける。
前回のケイジャンチキンは炒めた香味野菜は不使用、トマトも不使用なのでケイジャン料理となる。
材料(4人前)
- 米・・・2合分
- 玉ねぎ・・・1/2個
- セロリ・・・1/2本(小さめなら1本弱)
- 赤パプリカ・・・1個
- にんにく・・・1片
- ケイジャンチキン
- 鶏もも肉・・・200g程度
- サラダ油・・・大さじ1
- おろしにんにく・・・小さじ1
- パプリカパウダー・・・小さじ1
- チリパウダー*1・・・小さじ1
- コンソメ顆粒・・・小さじ1/2
- コリアンダー(パウダー)・・・小さじ1/2
- カイエンペッパー・・・小さじ1/2程度
- ナツメグ・・・小さじ1/3
- シナモン・・・一振り
- 岩塩・・・少々
- 黒胡椒・・・少々
- スープ
- 鶏ガラスープ・・・500ml~700ml
- トマトペースト・・・大さじ1
- ローリエ・・・1枚
- オリーブオイル・・・大さじ1
- 塩・・・少々
- 胡椒・・・少々
ポイント
- ジャンバラヤは炒飯ではなくパエリアのように作る。つまり、生米をスープで炊いていくような調理法となる。
- 炊くときの鶏ガラスープは700mlを用意し、500mlくらいから試していき、必要に応じて適宜追加する。余ったら溶き卵でも入れて飲むと良い。
- クレオール料理ということで、オリーブオイルを使った方が雰囲気が出そうなので使用。別にサラダ油でも大丈夫。
- ケイジャンチキンの作り方は以前のものと同じ。手順の中に組み込んで同じフライパンでそのまま調理していく事によって、鶏の旨みを余すことなくジャンバラヤに移せるようなレシピにしている。
作り方
①具材を切る
- 玉ねぎ・・・1/2個
- セロリ・・・1/2本(小さめなら1本弱)
- 赤パプリカ・・・1個
- にんにく・・・1片
まずは具材を全部カットしておく。
玉ねぎ、セロリ、赤パプリカはやや粗めのみじん切り。これを炒めることで、いわゆるフランス料理のミルポワ*2のような存在となる。
だいたい玉ねぎ2:セロリ1:パプリカ1となるくらいの比重で用意する。
今回はセロリがそこまで大きくなかったのでほぼ1本使用したが、好みで調整して構わない。
にんにくはみじん切り。こちらは細かめで。
もし鶏ももが塊のままだったら、ここでついでにカットしておくと良い。
②鶏肉を漬け込む
- 鶏もも肉・・・200g程度
- サラダ油・・・大さじ1
- おろしにんにく・・・小さじ1
- パプリカパウダー・・・小さじ1
- チリパウダー*3・・・小さじ1
- コンソメ顆粒・・・小さじ1/2
- コリアンダー(パウダー)・・・小さじ1/2
- カイエンペッパー・・・小さじ1/2程度
- ナツメグ・・・小さじ1/3
- シナモン・・・一振り
- 岩塩・・・少々
- 黒胡椒・・・少々
前回のケイジャンチキンと同じ要領で、鶏肉とスパイスをすべて合わせ、30分以上漬け込んでおく。
この漬け込みの時間を活用し、他の調理を進める。
③野菜を炒める
- カットした玉ねぎ、セロリ、赤パプリカ(①)
- オリーブオイル・・・大さじ1/2
- 塩・・・少々
- 胡椒・・・少々
オリーブオイル大さじ1/2をフライパンに入れて中火で熱し、カットした玉ねぎ、セロリ、赤パプリカを炒めていく。
塩・胡椒をパッパッと振り入れ、中火のままじっくりと。木べらでかき混ぜて、具材は焦がさないように。
玉ねぎが透き通ってくる頃が目安。ちょっと野菜たちもしんなりしてきた。
完成したら別皿に移してフライパンを空ける。
④鶏肉を炒める
- 漬け込んだ鶏肉(②)
- 油・・・適宜
続いてケイジャンチキンを作る。
先ほど漬け込んだチキンを室温に10分程度慣らしておき、先ほどのフライパンに薄く油を敷く。
ケイジャンチキンの漬け込み液自体にも油が入っているので、テフロン加工のフライパンだったら追加の油は不要。今回は鉄フライパンだったので、油を少量追加した。
中火~中弱火程度で皮目からじっくりと。まずは片面5分。
裏返してさらに5分。後から煮込むのでそこまで神経質に火を通さなくても良いのだが、念には念を、ってことで。
側面を焼きたいけど安定しないときは、こんな感じで鶏肉を寄せ集めてもたれさせると良い。
鶏肉が焼けたら、こちらもまた一旦別皿に移しておく。
⑤米を炒める
- 米・・・2合分
- にんにくのみじんぎり(①)
- オリーブオイル・・・大さじ1/2前後
鶏ももを取り出したフライパンをそのまま使って、米を炒める。
フライパンに残っている油にも旨みやスパイスが溶けだしているので、このままこの油を米に移していく。
フライパンに残っている油と追加する油で合わせてだいたい大さじ1の量になるように調整して、スタンバイ。
まずはにんにくを入れて、中弱火くらいで着火。にんにくの香りを出す。
香りが出てきたら、米を投入して中火に。
米に油を吸わせるようなイメージで、米と油を絡めながら炒めていく。
だいたい米が透き通るくらいまで炒めたらOK。
⑥炊き上げる
- 炒めた野菜(③)
- 炒めた鶏肉(④)
- スープ
- 鶏ガラスープ・・・500ml~700ml
- トマトペースト・・・大さじ1
- ローリエ・・・1枚
ここで一度火を止め、鶏ガラスープを500ml注ぐ。残りの200mlは微調整用に取っておく。火力やフライパンのサイズ、米の吸水具合なんかで状況が変わる。
今回は米が浸かりきらなかったので、100ml足して600mlで始めることにした。
ここにトマトペーストを溶かし込む。トマトペーストはトマト缶のように皮が残ったり水気が追加されたりしないので使い勝手が非常に良い。カレーを作る際にも良いし、煮込み料理にも丁度良い。トマトの果肉感や粒感が不要な時は良い選択肢となる。
炒めた野菜と鶏肉も戻し、ローリエを浮かべ、よく混ぜ、準備完了。
中強火くらいで沸騰するまで待つ。
沸騰したら蓋をして弱火に落とし、10分程炊く。
10分経ったらこんな感じ。
このようにスープがちょうど無くなるのが理想。
10分経つ前にチリチリと音がするようならスープ不足。その場合は蓋を開けてスープを50ml程度足す。
この状態で軽く混ぜて味見。味が足りなければ塩をひとつまみ。
まだ米に芯がある状態で大丈夫。ここで一回混ぜることで、水分の少ない上部と水分の多い下部が混ざり、米がベチャベチャになることを防ぐ。
混ぜ直したら、再度火をつけて蓋をして2分加熱する。混ぜ直したときに既におこげがしっかり出来ていたらスープを50ml程度足す。
加熱が終わったら火を止める。蓋をしたままの状態で8分間蒸らす。
その後、蓋を開けて米の芯をチェック。火の通りが十分ならば完成。不足していたら蓋をして再加熱。30秒くらい経ったら再度様子を見る。
完成
完成したら皿に盛る。
飲食店で見かけるジャンバラヤは上にチキンが乗せられていることが多いので、それに倣ってみた。
横にはちょっと野菜をあしらってみたり、レモンを添えてみたりして。さらにジャンバラヤの上からパプリカパウダーをかけるとさらにそれっぽい。
食べてみると、パエリアだこれ。
クレオールはスペインの影響も受けたということだが、調理法が完全にパエリア。具材もなんとなくパエリア。
スパイスの使い方が若干違うけど、米のあの独特な食感はパエリアのソレである。
やや辛めの味付けにしたチキンと、野菜の旨みが移った米。途中でちょいとレモンを絞ると良い味変になる。