
宮崎県の郷土料理「冷や汁」。
夏バテしやすい時期にサラリと食べられるように作られたとされる。
宮崎県は味噌も野菜も海鮮もあるため、農民が暑い夏に食べたとされる冷や汁は宮崎を代表する料理とも言える。
麦飯に生みそを乗せ、水をかけて食べたものが元となっている。まさに庶民メシ。
かつては米が貴重品だったこともあり、トラディショナルに作るなら麦飯。宮崎の特産でもある胡瓜は欠かさず用いる。味噌は麦味噌だと尚良い。
現代ではいくつかアレンジされつつも、いまだに郷土料理としての地位を確立。とはいえ作るのが手間ではあるため、家庭料理として頻繁に食卓に上ることは少ないと思われる。
やよい軒やその他飲食店でも取り扱うことがあり、食べたことがある人もいるかも。
雑に言ってしまえば「味噌汁ぶっかけ飯」の類いである冷や汁だが、その奥は深い。
材料(6杯程度)
- 出汁
- 水・・・1200ml
- 昆布・・・12g(水の1%)
- かつおぶし・・・12g(水の1%)
- 煮干し・・・15g
- 白ごま・・・30g
- 麦味噌・・・200g(水の1/6)
- 鯵の干物・・・1枚
- 胡瓜・・・1本
- 薬味(お好みで)
- 青じそ・・・5枚
- 茗荷・・・1個
- 生姜・・・1かけ
- ごはん・・・適量
ポイント
ごはんは白米?麦飯?
トラディショナルにやるなら麦飯を炊くと良い。
現代では麦飯にする方が手間なので、白米で供することが多いと思われる。
すり鉢を使う
フードプロセッサーを使いたい物ぐさな貴殿はもちろんそれで構わない。
が、フードプロセッサーやミキサーだと煮干しをすり鉢で擂った時のフワフワ感が出ない。決して粉々にしたいわけじゃないんだ、伝われ。
豆腐と薬味はお好みで
豆腐を潰しながら入れるレシピもある。お好みで半丁~1丁入れると良い。
薬味は涼しげなものをチョイスして入れる。
早めに食べきる
加熱しない料理のため、あまり保存が効かない。
作成完了後24時間以内くらいには食べきるのが良い。
作り方
①出汁を用意する
- 水・・・1200ml
- 昆布・・・12g(水の1%)
- かつおぶし・・・12g(水の1%)
まずは出汁を用意する。
もちろん顆粒出汁でやっても構わないが、出汁を引くのも楽しいのでぜひ。
今回は昆布と鰹の合わせ出汁+煮干しを用いてトリプル出汁にする。
最初に昆布12gを水1200mlに浸して戻す。
昆布の割合は水の1%の重量。

昆布の表面に汚れがあることがあるので、固く絞った布巾などでサッと拭う。
なお、昆布表面の白いものは汚れではない。
昆布を水に入れ、半日~1日程度冷蔵庫に置いておく。
1日以上置いても出汁の出方には変化が無い気がする。長く置き過ぎると今度は水の劣化が心配なので、長くても2日までとする。

お急ぎなら常温で30分程度置いておくだけでも、それなりに昆布が戻り効果的。
余裕を持った出汁作りを。
昆布が最大限戻ったら調理へ移る。
調理に移るまでに昆布の枚数を数えておく。枚数が分かれば、後ほど昆布を取り除くときに慌てずに済む。

このまま鍋を弱火にかけ、じっくりと加熱していく。
鍋肌に泡が付き始めたくらいで昆布を取り出す。昆布を入れたまま沸騰させるとヌメリが出るので注意。

昆布を取り除いたら、火を少し強めて一回しっかりと沸騰させる。
その間にかつおぶし12gを用意する。鰹節も水の重量の1%を基準にするとやりやすい。

十分に沸騰した出汁の火を止めてから、かつおぶしを入れる。
そのまま火を付けずに2分ほど待つ。その後再度火を弱火で点け、沸騰したら火を止める。

なお、アクを取った方が上品な出汁になる。今回はどちらでも、お好みで。
完成したら漉していく。
硬く絞ったふきんやキッチンペーパーをザルに乗せ、漉す。目の細かい漉し器でもOK。

完成したら、粗熱を取り、冷蔵庫で充分に時間をかけて冷やす。

②煮干しの準備
- 煮干し・・・15g
煮干しは15gを用意。
味噌で充分に塩味が付くため、塩を使っていない煮干しの方が良い。
もし煮干しの原材料に塩が含まれる(塩水で茹でた製法)ならば、味噌をちょっと減らしても良いかもしれない。

15gってこれくらい。
煮干しは頭と内臓を取り除く。これは雑味を入れないため。
頭は左右にクイッと曲げれば取れる。エラのあたりまでまとめて取るイメージでちぎる。

その後、背と腹のあたりに力を入れて煮干しの身を縦に潰し、内臓を取り除く。

このお腹周辺の黒いあたり。
骨は取らなくて大丈夫。骨が取れてしまったら入れても入れなくてもどちらでも。
煮干しの下処理が全て終わったら、フライパンで弱火で5分ほど乾煎り。
香ばしい香りがしてくる。

乾煎りが終わったら、すり鉢へと入れ、すりこぎで擂っていく。

だんたん粉末状になっていく。ふんわりとした柔らかな粉状になる。

このあと各種材料を混ぜて更に擂っていくため、一旦これくらいで大丈夫。
③ごまの準備
- 白ごま・・・30g
続いて白ごま30gを用意。
こちらも煮干しと同じく乾煎りする。香りが立つくらいで良い。

煮干しを擂っているすり鉢に少しずつ入れ、合わせて擂っていく。
だいたい4~5回くらいに分けて入れると擂りやすい。

なお、すり鉢が無かったり擂るのが面倒なら魚粉とすりごまで代用可能。
擂り加減で最終的な口当たりが変わる。よく擂れば滑らかに。

④味噌を焼く
- 擂った煮干しとごま(③)
- 麦味噌・・・200g(水の1/6)
続いて、このすり鉢の中に味噌を入れて、練っていく。
味噌は少量ずつ合わせる。

最初はべちゃべちゃするが、乾燥した煮干しとごまが味噌の水分を吸い、良い感じに練りやすくなる。

こんな感じのペースト状になるまで練る。
かつてはこのまま味噌をすり鉢に薄く塗り広げ、火の上に逆さまにして味噌を焼いたという。
しかし様々な調理器具が揃う現代では色々なアプローチで味噌を焼くことが出来る。もちろんオフィシャルに則り、すり鉢を逆さにしてコンロの火に当てて焼き目を作っても構わない。
今回は魚焼きグリルを使って味噌を焼いていく。
アルミホイルを適度な長さで切り、四辺それぞれを内側に織り込んで壁を作っておく。
ここに満遍なく味噌を広げ塗る。

グリルに入れ、ある程度焼き目が付けば完了。オーブンでも構わない。
徐々に味噌とごまの香ばしい香りが立ってくるので、それを目安にしても良い。焦がすと焦げた香りが冷や汁に強く付き、出汁が台無しになってしまうので注意。

⑤汁を完成させる
- 出汁(①)
- 焼いた味噌(④)
完成した出汁と味噌を合わせていく。
味噌を鍋に入れ、そこに出汁を少しずつ入れ、味噌を伸ばしていくように馴染ませる。

泡だて器やゴムヘラ等で伸ばしていくと良い。
全て溶かしきったら、再び冷蔵庫へ。

⑥具材を準備する
- 鯵の干物・・・1枚
- 胡瓜・・・1本
- 薬味(お好みで)
- 青じそ・・・5枚
- 茗荷・・・1個
- 生姜・・・1かけ
何かしらの魚を焼いてほぐす。鯵の干物が手頃で良いが、鯖でも美味しい。
ともあれ、焼いた魚を用意する。

丁寧にほぐす。小骨も出来る限り全て取り除く。
汁として頂いたときに、小骨が気になってしまうからだ。

薬味の準備も行う。

胡瓜は小口切り、大葉は細切り、茗荷は千切り、生姜はみじん切りにした。食感を変えると、食べているときに楽しい。
揃えるならば全て長さを揃えると、それはそれで統一感が出て食べやすい。
胡瓜、茗荷は水に数分水にさらしておくと食べやすくなる。

⑦汁と具材を合わせる
最後に冷やした汁と具材を合わせる。
汁の中に全て具材を入れてしまうのもアリ。後乗せもアリ。
ご飯にかけていただくのが本場流。もちろん別にしていただいても良い。

少し濃い目の味が良い。ご飯も進み、食欲を刺激される。
薬味が良い仕事をしている。魚のほぐし身があるだけで、なんだかリッチな気分にもなれる。
宮崎県で受け継がれる暑さを乗り切る知恵、郷土料理の冷や汁。
ぜひ作って堪能してほしい。