手作り料理部

橋本ねこのお料理部屋( 'ω')

魅惑の手作り西京焼き

 

 

 


西京焼きが好きになったのは最近になってからだ。

なんだか独特の香りがするので小さな子供だった時分には大人の味だった。
歳月を経て、大きな子供となった今では西京焼きが結構好きになった。

 

西京焼きについて

西京焼きは京都の白味噌「西京味噌」を用いて味付けをした食材を焼いた料理を指す。

肝心なのは味付けの部分。基本的には味噌床のようなものを作り、食材を一定期間漬けておく。
味噌に漬け込むことなく簡易的に味噌だれのようなもので味付けして西京焼きと語る場合もあるようだが、こちらに関しては本当の意味で西京焼きと呼べるのかは微妙なところである。

西京味噌

西京焼きに西京味噌を使っていなければ、それは西京焼きではない。

西京味噌は白味噌の一種で、京都の味噌*1となる。味噌の中では塩分低めであり、上品な甘さと香りを持つ。京都料理で用いられる。

京雑煮、湯葉の入った味噌汁、豆腐田楽に使う。酢との相性も良く、ぬた和えや木の芽和え等も有名。

まず、西京漬けを作る

西京"焼き"を作る前段階として、西京"漬け"を作らなければならない。
味噌と調味料をよく混ぜた味噌床を用意し、ここに食材を漬け込む。
管理が良ければ繰り返し数度使う事が出来る。

使う食材はもっぱら白身魚が多いが、他の種類の魚や豚肉・鶏肉を漬け込むのもおいしい。変わり種ではクリームチーズなんかも。

 

漬け込んだあとは表面の味噌を落とし、焼く。

味噌の効果で食材からある程度水分が抜け、旨みが凝縮される。西京味噌のマイルドさが活かされ、素材を感じられる強すぎない味わいに仕上がる。

 

今回はそんな西京焼きに使うための味噌床を作る。

 

材料

  • 西京味噌・・・200g
  • 酒・・・大さじ1
  • みりん・・・大さじ1
  • 醤油・・・大さじ0.5
  • 砂糖・・・大さじ0.5

ポイント

今回の分量で、魚なら切り身で2~3切れ、ステーキカットの豚ロース肉でも2枚を一度に漬け込める程度となる。

一度作った味噌床は数度使えるが、2~3回使ったら新しく作った方が衛生的で良い。ぬか床と違って"育たない"ため、使いまわすことにこだわらなくても大丈夫。異臭がしたり変色したり、その他違和感を感じたら潔く捨てる。

一度食材を漬けた後、次の食材を漬ける前に味噌床の水分をキッチンペーパーをあてて吸い出す。水分が多いと悪くなりやすい。

作り方

①味噌床を作る

  • 西京味噌・・・200g
  • 酒・・・大さじ1
  • みりん・・・大さじ1
  • 醤油・・・大さじ0.5
  • 砂糖・・・大さじ0.5

 

材料をボウルなどにすべて入れ、よく練って混ぜる。

すり潰すようにして混ぜると均一に混ざる。

 

混ざったら保存容器へ移し、味噌床は準備完了。

 

魚の場合

定番はタラ、サワラ、金目鯛、赤魚あたり。

でも何を漬けてもおいしい。鯖でも鮭でもおいしい。

下準備

魚を漬ける前に、塩で臭みを出しておく。

表も裏も満遍なく全体に塩をすり込み、冷蔵庫で30分置く。

こうすることで、魚の中にある臭みの元が水分と共に浮き出てくる。

水分をキッチンペーパーなどでしっかり拭き取り、味噌床へインする。

漬け込む

漬け込むとき、ちょっと味噌を端へと寄せると良い。

上から味噌を塗り、全体が味噌で覆われるようにする。

このまま冷蔵庫で丸1日お休みいただく。

 

焼く

翌日、味噌床から魚を取り出す。

 

この時、魚に付いている味噌は味噌床へと戻して構わない。

数回繰り返し使えるので、なるべく戻しておいた方がエコ。

味噌をあらかた剥がしたら、一旦味噌床から出してみる。

身の鮮やかさが増しているように見える。

 

魚に味噌が残っていると焦げやすいため、味噌床へと戻しきれなかった味噌はキッチンペーパー等で拭き取る。

表面の味噌を拭き取っても、味は内部まで浸透しているので問題無い。

 

あとは皮目から焼く。フライパンに魚を乗せてから火をつけ、弱火で5分。

裏返してまた5分くらい。

そして完成。良い香り、良い色。

これくらいの焼き色が付くと西京焼きらしさがあって良い。

魚の良さを引き立たせるような、繊細で上品な味わいが楽しめる。

 

肉の場合

豚肉、鶏肉、どちらもおいしい。牛肉の西京焼きは聞いたことが無いので多分あんまり相性が良くないんだと思う。

 

下準備

前回の魚を漬けた翌日の体で進める。

味噌床に余計な水分が浮いていたらキッチンペーパーで取り除き、味噌全体を軽く練り直して均一にしておく。

こちらに今回はちょっとぶ厚めの豚肉を漬け込んでいく。漬け込む前に筋切りをして、軽く叩いておくと尚良い。

 

漬け込む

味噌を端に寄せ、底部に薄く残るくらいにし、豚肉を入れ、味噌を全方位塗りたくる。これを2枚分行った。

大きめだったがなんとか収まる。

なお、豚肉や鶏肉、そして生魚を漬け込むことで、この味噌床には様々なウイルスや菌が付着する。そのため、調理の際はよく加熱せねばいけない。

こういった食材を漬け込んだ後に、ぬか床感覚で胡瓜とか漬け込んでそのまま食べると確実に食中毒になるので留意。

 

焼く

こちらも丸一日漬け込んだのち、取り出す。

多分もっと保存性がある気がするんだけど、万が一傷んでしまうと嫌だなと思い一日に留めた。

開けてみても、腐敗臭や嫌な臭いはしない。一安心。臭いは一つの目安となる。

表面の味噌を味噌床へと戻し、戻しきれなかった分はキッチンペーパー等で拭き取る。

 

あとは焼くだけ。豚肉なのでしっかりと火を通す。

以下の時間は目安とし、状況に応じて追加で加熱してほしい。

両面それぞれ5分焼き、火を止めて蓋をして3分間保温しながら余熱でじわじわ火を通す。

 

味は言うまでもなく、ちょっと水分が抜けてパサッとした豚肉に味噌が香ばしく絡む。ちょこちょこ焦げているのもまた良い。

豚の脂の部分に入り込んだ味噌味が格別。ご飯がすぐに無くなってしまう。

 

 

*1:京都府味噌協同組合で認められたもののみ「西京味噌」と名乗ることが出来る。