手作り料理部

橋本ねこのお料理部屋( 'ω')

家庭でも出来る、本格プルドポーク

 

 

プルドポークをご存じだろうか。

アメリカ南部のバーベキュー料理であり、塊肉をじっくりと加熱してホロホロになったらフォークなどでほぐしていった料理である。

このほぐす工程をプル(pull=引っ掻く、むしる)と言うため、プルドポークと呼ばれる。

なぜわざわざ塊肉を細かくほぐすのか。それはやってみれば分かる。わざわざ行うこの面倒臭い工程には意味があるのだ。

 

本場ではバーベキューグリルで直火が当たらないところにずっと放置しておき、熱と煙で調理する。10時間くらいかけて熱を加えていくという恐ろしく気の遠くなるような調理法をする。

日本人のバーベキューと言えば、どちらかと言えば日常ではなく非日常。そのため、自宅ではなくどこかバーベキューの出来る施設へ赴き、せいぜい長くても4時間くらいで撤退する。こういった長時間のバーベキュー料理はそもそも日本にフィットしない。

「広い庭にバーベキューグリルが常にあり、日曜日の朝から仕込んで晩御飯にする」的な発想はそもそも日本的では無いのだ。住宅事情からしても厳しい。

 

バーベキューグリルが無くても「日本でもプルドポークが食べたい!」というわがままボディなあなたのために、日本式だがある程度本格的になるように手順を踏襲したプルドポークを作っていこうと思う。

なお、先に断っておくが、2日がかりの料理である。

作ってみる

材料(作りやすい量)

  • 豚肉・・・500g(塊)
  • 油・・・大さじ1.5
  • 揉み込みスパイス
    • チリパウダー・・・大さじ0.5
    • パプリカパウダー・・・大さじ0.5
    • 砂糖・・・大さじ0.5
    • 塩・・・小さじ1
    • 黒胡椒・・・少々
  • 玉ねぎ・・・1/2個
  • 水・・・500ml
  • 合わせ調味料
    • ケチャップ・・・大さじ2.5
    • ウスターソース・・・大さじ1
    • 醤油・・・小さじ1
    • 砂糖・・・小さじ1
    • にんにく・・・1片

ポイント

塊の豚肉を用意する

切り落としやスライスではなく、大きな塊肉を選ぶ。

豚の塊肉には馴染みが無いかもしれないが、目に付かないだけで意外と普通にスーパーに売っている。むしろお値打ちに売っていることだろう。いかに日本に豚の塊肉の需要が無いかが分かる。

使う部位は豚肩ロースの方がより本場に寄るので望ましいが、豚バラを用いても良い。豚バラを用いるとやや脂身が多くなるが、それはそれでおいしい。なお、今回は豚バラを使用している。

じっくり調理する

下味を染み込ませるのに一晩、表面に焼き色を付けるのに15分程度、その後2時間近く煮込んで完成となる。

強火でガンガン調理するようなものではないので、諦めて時間のある時に気長に調理してほしい。また、圧力鍋で調理すると早いには早いのだが、なんかちょっと違うものになる。

作り方

①塊肉を準備する
  • 豚肉・・・500g(塊)

まずは塊肉を準備する。そんなに上質なものでなくても大丈夫。むしろ脂のおいしさが特徴の豚を使用すると、プルドポークの良さを活かしきれない気がする。

 

今回用意したのはバラの500g。こちらを4等分くらいにしておく。最終的に鍋に入るサイズだったら3等分でも5等分でも。

ある程度"面"が残っている方が、焼き目を付けるときにやりやすい。

 

②スパイスを揉み込む
  • カットした豚肉(①)
  • チリパウダー・・・大さじ0.5
  • パプリカパウダー・・・大さじ0.5
  • 砂糖・・・大さじ0.5
  • 塩・・・小さじ1
  • 黒胡椒・・・少々

先ほどのカットした豚肉を袋に入れ、スパイスもそちらへ入れる。

 

なお、チリパウダーはスパイスミックスであり、チリペッパーとは異なる。

今回用いたチリパウダーはクミンやオレガノのミックスである。メキシコ料理・ケイジャン料理に合う配合となっており、まさに今回のアメリカ南部料理であるプルドポークにはピッタリ。今回はS&Bのものを使用した。

無ければクミン小さじ1/3・チリペッパー小さじ1/3・オレガノ小さじ1/4・ガーリックパウダー小さじ1/4で代用できる。さらにパプリカパウダーと塩を気持ち追加しておくと良い。

肉とスパイスを袋へ入れたら、よく振って揉み、肉の全体にスパイスが満遍なく付くようにする。ムラなく均一に隙間無く。

 

この状態で冷蔵庫で一晩お休みいただく。

朝に作った場合は、だいたい6時間も休まれせれば十分だろう。

 

③準備
  • 準備した豚肉(②)
  • 玉ねぎ・・・1/2個
  • 合わせ調味料
    • ケチャップ・・・大さじ2.5
    • ウスターソース・・・大さじ1
    • 醤油・・・小さじ1
    • 砂糖・・・小さじ1
    • にんにく・・・1片

スパイスに漬け込んだ豚肉を冷蔵庫から取り出して常温に馴染ませておく。塊が大きいため、30分程度は室温に馴染ませておきたい。

スパイスが馴染んでいたら浸透圧の関係で豚肉がちょっとしっとりとしていることだろう。もしかすると水分(ドリップ)が少し袋に溜まっているかもしれない。これは別に自然な事なので問題無いが、この袋に溜まった汁は別に旨みにならないので捨てておく。

 

肉を室温に馴染ませている間に、玉ねぎをみじん切りにする。

まずは玉ねぎを縦に置き、ギリギリ切り取らないくらいのところに切れ込みを細かく入れる。

その後、玉ねぎを横向きに置き、細かく切っていくとみじん切りが素早く出来る。

それぞれ縦と横に切るときの細かさでみじん切りの仕上がりのサイズが変わる。

今回はどうせ煮込むし、そこまで細かくしすぎなくても大丈夫。でも、くし切りだとちょっと粗すぎるので、みじん切りにはしたい。

 

先に調味料も合わせておく。

ケチャップ大さじ2.5、ウスターソース大さじ1、醤油小さじ1、砂糖小さじ1、にんにくは一片分をすりおろして全てを混ぜておく。

いわゆるバーベキューソースのようなものである。醤油が入っているのでアメリカンテリヤキソースのようでもある。

 

④焼き付け
  • 常温に戻した豚肉(③)
  • 油・・・大さじ1.5
  • みじん切りにした玉ねぎ(③)

フライパンに油を敷き、油がサラサラになるまで熱する。

油が熱されたら火力を少し弱めの中火くらいに落とし、豚肉の表面に焼き目を付けていく。

ここでは中心部まで火を入れることを考えなくても大丈夫。それは後の工程でしっかり加熱するので良しとして、ここでは表面の焼き付けを行う。

肉の6つの面それぞれ、だいたい2分くらいずつ焼いていく。カリカリ、シューシュー、パチパチと乾いた音がしてくるのが合図だ。ジューと言っている段階ではまだ水分があるためもう少し。

 

全ての面に焼き色が付いたら玉ねぎを加える。

玉ねぎに調味料や油を吸わせるようにしながら炒めていく。

玉ねぎからだんだん水分が出てくるため、その水分を使って焦げないように炒めていく。

玉ねぎがしんなりとしてきたら完了だ。

 

⑤煮込む
  • 水・・・500ml
  • 合わせ調味料(③)

鍋に豚肉と玉ねぎをすべて移し、水を加える。鍋の大きさによって異なるが、豚肉が浸るくらいまでは加えたい。今回は500mlほどとなった。

余りに水が少なすぎると煮込み終わる前に煮詰まってしまうため、要調整。

 

さらに合わせておいた調味料も入れておく。

これくらいのひたひた感。

 

ここから長い時間をかけて煮込んでいく。

まずは沸騰するまでは中火にかけ、沸騰したら弱火に落として蓋をする。

蓋をしたら100分間煮込む。

 

こちらが60分経過時。

そしてこちらが100分の煮込みが終わったとき。

豚肉はプリプリとしていて、持ち上げるだけで崩れそうな状態になっている。

 

⑥ソースを煮詰める

煮込みが終わったら肉をバットなどに取り出しておく。

すっかり柔らかくなっており、持ち上げるときにも少しほぐれてしまった。

残った煮汁は焦がさないように気を付けつつ、煮詰めていく。

まだ水分量が多いうちは中火、そろそろ煮詰まってきたなと感じたら弱火で。

最終的に30cc程度になるまで煮詰める。玉ねぎは食感が無くなるほどにトロリと溶け込み、ソースの一部となった。

 

⑦ポークをプルする

ここが本題となる。これをしなければプルドポークではない。醍醐味である。

両手にフォークを持ち、肉を無心で割いていく。

これが意外と重労働だったりする。結構念入りにほぐす必要もあるが、完成したときはそれ以上のおいしさが待っているので頑張って。

どんどんほぐしていく。

更にほぐす。

最終的にこれくらい、すべての肉がホロホロになればOK。

シーチキンくらいと言えば分かりやすいだろうか。

こちらに煮詰めておいたソースを10cc程度合わせ、混ぜたら完成。

残ったソースはお好みで追い足したりして使う。

 

食べてみる

食べてみると、結構ガツンとしたハードパンチ。しっかりとした味わいと豚の旨みがダイレクトに。

ごはんにも合うし、このままツマミにしても良さそう。

 

なるほど、割くことで食感も良く食べやすい。「せっかくの塊を割いてしまうなんて勿体ない!」って思っていたけど、せっかくの塊を割いたことがないなんて勿体ない!

 

本場ではバーガーにしたりパンにはさんだりするのが主流。バーベキューでプルドポークを作ったら、こういったバンズやパンを使ってワンハンドフードにして食べるのだ。

というわけでパンを用意。挟めるだけ挟んだら煮詰めたソースをちょっとかけて。サンドにしたらトースターでちょっと焼き目をつけて完成。

これが最高に旨い。今までの苦労が報われたような、登山の後の日の出を見るような、そんな気分になる。そりゃあアメリカ人はこれをよく作るわけだ。納得。

チーズとか挟んでも良いし、ピクルスも良い。パンじゃなくてトルティーヤにするのもアリ。

 

今回のレシピはガチのプルドポークから派生した、お手軽ながら本格的な味わいを楽しめるレシピとなる。

本場でも「10時間も焼くなんてやってられるか!」って人は少なからずいるわけで、そういった江戸っ子気質のアメリカ人もこういった作り方をするようだ。

スパイスを付けて一晩寝かせ、焼き目を付けて、煮込む。これだけで幸せが手に入る。時間はかかるけど、一晩寝かせている間と煮込んでいる間は基本的に放置なので、手間はそこまでかからない。

もしも気が向いたら、ぜひ。