メインディッシュからデザートまで使えて何かと便利なパイシート。
一切オーブンを使わない人には縁遠いパイシート。
今回は冷凍のパイシートを使ってサクッとアップルパイを作る。
アップルパイについて
今更アップルパイについて解説するまでもないが、一応。
アップルパイはアメリカを代表するデザートといっても過言ではない。だいたいこういう高カロリーなデザートはアメリカのイメージが強い。
とはいえパイ文化はイギリスでも根強く、リンゴもよく使われるので、元はイギリスから伝わったものと思われる。現在ではアメリカの方が強いイメージを持つが、発祥はイギリスであろう。たぶん。
パイシートにカラメリゼ等で甘くしたリンゴを乗せて焼き上げるシンプルなデザートであるアップルパイ。
アップルパイを作る上で一番面倒なのはパイシートを作るところだ。今回は冷凍のパイシートを使って手軽に作っていこうと思う。
作ってみる
材料(パイ1個分)
- パイシート(18cm~20cm幅)・・・2枚
- カスタードクリーム
- 卵黄・・・2個分
- 牛乳・・・250g
- 砂糖・・・60g
- 薄力粉・・・16g
- バニラエッセンス・・・少々
- リンゴのカラメリゼ
- リンゴ・・・2個分(350~450g程度)
- グラニュー糖・・・110g
- 無塩バター・・・35g
- シナモンパウダー・・・適量
- 卵液
- 卵黄・・・1個分
- 水・・・少々
- 塩・・・少々
今回はカスタードクリームとカラメリゼしたリンゴをパイに乗せて焼いていく。リンゴだけでも十分においしいがカスタードクリームを入れる事でよりハイカロリーでアメリカン、ちょっとジャンキーな味に出来る。
カスタードクリームもリンゴのカラメリゼも作りやすい量となっており、一枚もパイに対して余る量となる。カスタードクリームは半量でも丁度良いくらいだが、加熱する際に失敗しやすくなるので難易度は上がる。
パイを焼く際には型を使っても良いが、ハードルが上がる感じがするので僕は使わない。
せっかく丸型でも角型でも好きな形で焼けるんだもの、好きな形にさせてくれ、って思っている。まぁ今回は結局丸型にするのだけど。
手順とポイント
まずはフィリング*1としてカスタードクリームとリンゴのカラメリゼを作る。
どちらも充分に冷ましたいので、時間には余裕を持ちたい。
充分に冷めたら、解凍したパイシートに盛り、オーブンで焼いて完成となる。
パイシートは冷たい状態から焼いた方が綺麗な層が出来るため、直前まで冷蔵庫に入れておきたい。
天板も常温で。わざわざ冷やすほどでもないが、オーブン内で一緒に予熱する事が無いように。
作り方
①カスタードクリームを作る
卵黄・・・2個分
牛乳・・・250g
砂糖・・・60g(30gと30gに分けておく)
薄力粉・・・16g
バニラエッセンス・・・少々
まずはカスタードクリームを作る。材料もシンプルで意外と楽。
焦げ付いたりしないよう気を付けなければならないが、感覚さえつかめばシンプルで楽。
クリームが出来上がったら急冷したいので、バットを冷やしておく。
牛乳セクションと卵黄セクションを別で作業して最後に合わせて加熱する、という作り方だ。
片手鍋に牛乳250g、砂糖30gを入れ、火にかける。
火にかけたら砂糖を溶かすようにして混ぜ、沸騰したら火をとろ火でキープ。煮詰めたいわけではないので注意。
牛乳を沸かしている間に溶いた卵黄2個分と残りの砂糖30gをボウルに入れ、すぐに泡だて器でしっかりと混ぜる。モタモタしているとダマになってしまう。
よく混ぜたらふるいにかけた薄力粉16gも合わせ、粉気が残らない程度に混ぜる。今度は混ぜすぎると粘りが出てしまうので気を付ける。
このボウルへ沸騰した牛乳を1/3程度入れ、ゴムベラで伸ばしておく。ダマにならないよう馴染んだらボウルの中身を牛乳の鍋へと戻す。
いきなり牛乳の鍋に全てを入れると混ざりが悪くなってしまうが、先にボウルで軽くなじませてから鍋へと戻すことで手早くなじむ。
ここからは強火。不安なら中火くらいで良いが、基本的に火は緩めない。
焦げないよう、ゴムベラで全体を混ぜながら加熱を続ける。徐々に粘度が高まってくるが、そうなるまでは焦げやすいのでしっかりと底から全体を混ぜ続ける。混ぜが足りないと焦げたりダマになったりする。
鍋の縁から気泡がボコボコと湧き上がってくるようになってきたら混ぜ方を緩める。
全体もクリーム状にモッタリとしてくるので、混ぜすぎないようにゆったりと混ぜる。
良い感じのクリーム状になってきたが、まだここで火は緩めない。
一見良い感じに見えるが内部にまだ粉っぽさは残っており、ここで終えるとざらついた食感のカスタードクリームになる。
ここで止めずにしっかりと加熱を続けることで滑らかな口当たりのクリームとなる。
しばらく加熱を続けると、あるタイミングで急にサラッとし、表面につやが出る。これが粉気が無くなった合図。
ゴムベラで持ち上げた時にモッタリせず、混ぜる手が軽くなったら火を止める。
これ以上加熱をすると水分が飛び過ぎてしまい、パサついてくる。
その後、余熱で火が入り過ぎないよう、予め冷やしておいたバットへ素早くカスタードクリームを平たく敷き、ラップを密着させて保冷剤や氷などを敷いたバッドに乗せる等して急冷する。
僕は冷蔵庫の温度帯が切り替えられるスペースを空にしておき、そこを冷凍庫代わりにして急冷している。
その後、冷えたらラップを剥がし、バニラエッセンスを入れて切るように軽く混ぜる。
冷えると固くなってしまうが、軽く混ぜる事で元に戻る。また、ここで混ぜすぎると食感が変わってしまう。
今回のレシピの量は作りやすい分量となっており、アップルパイを作るだけだと確実に余る。日持ちは30時間を目安に。
②リンゴのカラメリゼ
りんご・・・2個分
グラニュー糖・・・110g
無塩バター・・・35g
シナモンパウダー・・・少々
リンゴの皮を剥き、軸を除く。
皮は一緒に煮込むことで皮の色をリンゴに付けることが出来るので、好みで取っておく。向いた皮全部を一緒に煮込めば鮮やかなピンク色に、少量ならツヤ出し程度に。
リンゴは賽の目状に切っておく。
切り方は好みで良いが、あんまり果実感があり過ぎるのが好みではないため、角切りにした。
鍋にグラニュー糖を1/3程度入れ、点火。
中火で熱しながらサラリとしたら更に1/3、ちょっと溶けてきたら更に残り全量を入れて加熱を行う。
種類によるが、砂糖は160℃程度から溶け始める。
溶かしながら更に加熱を続けると、すっかり溶けて液状に。
加熱を続けて薄いきつね色になったらバター35gを溶かす。
あまりに濃い色になるまで加熱すると、ちょっと苦味が強くなりすぎてしまうため、溶けた砂糖が色付いてきたら頃合いだ。
溶かし終えたらリンゴを入れ、馴染ませる。リンゴで冷えると砂糖が固まるため、ゆっくりと絡めていく。
もし固まってしまっても再加熱すれば溶けるので大丈夫。溶けにくければ熱くなった鍋肌などを利用して溶かす。
リンゴの皮を一緒に入れる事で色味を変える事が出来る。たくさん入れるとピンク色になるが、ここではおまじない代わりに数切れだけ一緒に入れておく。
しばらく溶かした砂糖を全体に満遍なく絡めるようにして混ぜていくと徐々にリンゴから水分が出てくる。
鍋を傾けても水気があまり感じられなくなるくらいまで煮詰める。
その頃にはリンゴも照り良く仕上がっているはず。
火を止めてシナモンを2振りくらいして、軽くもうひと混ぜ。
こちらもバットに広げて冷やす。
パイシートに乗せるものはすべて冷たい状態にしておきたいのだ。
③パイシートを用意する
パイシート(18cm~20cm幅)・・・2枚
材料を冷やしている時間を使って、パイシートを解凍する。
冷蔵庫や常温で戻すのだが、やり方は袋に表記があると思うのでその通りに解凍すれば良い。
途中でオーブンの予熱も始めると良い。
まずは1枚目のパイシートを取り出し、手頃な皿や何かを乗せ、ナイフでぐるりと切り取って土台用のシートを作る。
本当は打ち粉をして麺棒で軽く伸ばすとより良いのだが、面倒なので今回は割愛。
底面にはピケ*2をしておく。こうすることで焼成時に膨らむのを防ぐことが出来る。底面がボコボコになると美しくないので。
クッキングシートの上に土台となるパイシートを置いて作業をする。
縁から1cmくらいの所は避けてカスタードクリームを延ばしていく。
ある程度コシがあるので、結構もりもりに乗せてもダレてこない。
続いてリンゴのカラメリゼを乗せていく。
こちらは水分を切りながら乗せた方が良いが、そこまで神経質にやらなくても良い。
垂れた汁はそのまま焦げになるのだが、これはこれでまたホームメイド感も出るし、見た目の"味"になる。まぁでもあまりビタビタ過ぎると焼き上がりに影響してしまうので、過度に水気を乗せないように。
もう一枚のパイシートを使って飾りを作る。
1cm幅程度で10本の縦長のシートを作る。これを縦5本、横5本で並べて模様を作る。これだけでグッとアップルパイっぽくなる。
ただ格子状に乗せるだけでも良いが、今回は互い違いに乗せた。
都度乗せたシートをめくりながら下に潜り込ませたりして編み込んでいくわけだが、なるべく中央に来るパーツから乗せることでめくる手間は最小限になる。
はみ出た部分は切ると丁寧だが、面倒なのでパイ生地の下に押し込んでしまう。切っても使い道も無いしね。
残ったシートを今度は0.4cm幅程度で9本切り出す。
こちらを3本ずつペアにして3組の三つ編みに。これをパイシート外周の飾りとして乗せる。
④ドリュールを塗る
卵黄・・・1個分
水・・・少々
塩・・・少々
良い感じに出来たらドリュールを塗っていく。
要は艶出しの卵液のこと。
他に材料を混ぜず卵だけで行くのか、全卵なのか卵黄だけなのか・・などなど色々な派閥があるのだけど、これは「どういう仕上がりを狙うか」によって変わるので絶対的な正解は無い。
今回は「濃いめの艶出し」「ややムラ」を目指す。
使うのは全卵ではなく卵黄のみ。シャカシャカと色が均一になる程度まで溶き、水を5mlくらい、塩を一振り程度入れる。
ムラなく均一な仕上がりを目指すならここで漉すのが良いが、今回はこのままで行く。
刷毛を使い、生地の流れに逆らわないようにして塗っていく。
このムラ感。これで良いんだよ、これで。
もしパンとかを焼くときは横や後ろからもしっかりと見て、塗り残しをチェックする。露骨に塗り残しが分かるので。
丁寧な仕事をするならば、ちょっとドリュールが渇いたくらいでもう一度。二度塗りをすることで、よりムラを無くすことが出来る。
⑤焼く
オーブンの200℃の予熱も終わった頃だろうか。
天板ごとオーブンに入れて、まずは200℃で20分程度。
この温度でしっかりと焼き、焼き色を付けたい。
焼き色が付くまでが約20分。それより早くこんがりとしてきたら次へと進む。
長くても25分もやれば充分だ。
温度を180℃に下げて15分程度焼く。
パイシートのバターの焼けたいい香りが部屋中に立ち込めてくるはずだ。
トータルで焼く時間は30分から40分くらいとなる。
もし途中で焦げそうならばアルミホイルをかぶせると良いが、パイの頂点が熱源に近すぎるかパイの形が小さすぎて焼きすぎているか等何かしらの理由があると思われる。
こんがり、サクサクと焼けたら完成。
あとはケーキクーラー等を使って粗熱を取ったら完成。
出来立てで食べることが出来るのも手作りの醍醐味。このまま焼きたてを頂くのも一興だ。
食べてみる
リンゴもカスタードクリームも非常においしい。そしてバターたっぷりのパイ生地もクリスピーで風味も良く、三位一体となった完成されたデザートだ。
今でこそスーパーやコンビニで色々なスイーツやデザートを手軽に買う事が出来るが、そういったものが無ければ確かにアップルパイは非常に満足度が高く「じゃあパイ焼くか」ともなるのも頷ける。
紅茶ともコーヒーとも合いそう。しかしやはりフルーツを使っていると紅茶の方が合うかな。
今回はリンゴとカスタードクリームの用意が手間だったものの、これらフィリングさえパパっと用意出来ればあとはパイに並べて焼くだけ。パイシートさえあれば何でもパイに出来てしまうのだ。
使うようになるとパイシートってすごい便利。パイシートに馴染みが無い人も、作ってみませんか?アップルパイ。