週末には、ちょっと凝ったお料理を

橋本ねこのお料理部屋( 'ω')

橋本ねこの「はちみつマサラ・チャイ」

 

 


チャイを作る。

秋も深まり、朝晩は冷え込む日も増えた。こういったホットドリンクで暖を取るのも良い。

チャイにも色々な作り方がある。慣れた人ならば適当に作るところだが、ここでちょっとレシピをメモするなどしてみる。

 

チャイについて

チャイとは

チャイと言えば、スパイスの効いた甘めのミルクティーを指す。

厳密にはスパイスを効かせたチャイは「マサラ・チャイ」であるが、現代における共通認識はこうだろう。チャイというものを注文すれば、スパイスの効いた甘めのミルクティーが出てくる。買う側・注文する側もそのイメージで注文するので、出す側・作る側も往々にしてそういったミルクティーを作る。

 

しかし実はチャイにスパイスが効いているかどうかは問わない。甘い紅茶であることには変わりないが。チャイと呼ばれる甘い紅茶の中で、特にスパイスの効いたものが「マサラ・チャイ」となる。

なので、市販のペットボトルに入った甘いミルクティーもチャイと言う事が出来る。現在の日本では通じないのでそう表現する事は無いけど。

 

そもそもチャイというのは「お茶」という意味の言葉となる。

もちろん由来はインドのお隣中国の言葉である「茶(チャ)」から。

それゆえ、日本でしばしば見かける「チャイ・ティー」という表現は意味が重複してしまっている。これでは「茶・茶」である。これは「スンドゥブ豆腐チゲ」等にも見られる表現である。

 

インドでのチャイ

本国インドでは庶民の飲み物として親しまれる。

南の方はコーヒーも飲まれるので、どちらかと言えば北インドの文化と言える。

本国のチャイは糖尿病まっしぐらなレベルにゲロ甘なテイストなので、デザートドリンクやお菓子代わりとして飲む。喉が渇いたときに飲むような物ではなく、あくまで嗜好品として飲まれている。

歴史

元々インドでは茶葉の生産も消費も盛んだったが、イギリスの植民地となった歴史がある。

皮肉にもその時に持ち出された茶葉が英国で大ブーム。そこから英国のアフタヌーンティー文化が始まるわけだが、もちろん良い茶葉はどんどんイギリスに取られてしまう。

残された形の崩れた細かい茶葉はおいしくは無かったが、なんとかしておいしく飲むために編み出されたのがこの吐くほど甘いチャイなのだ。

 

こういった背景があるため、チャイには色々な添加物が入るのだ。

今では別に細かな茶葉を敢えて選ぶ必要が無さそうに思えるが、茶葉も立派なものを使うよりも細かく粉砕された茶葉の方が濃く抽出することが出来るため、ミルクティーに向いている。そしてもちろんチャイにも向いているのだ。

「チャイ」という紅茶の嗜み方は、当時のインドの生活の知恵の結晶と言える。

 

作ってみる

それでは、僕流のマサラ・チャイを作る。

ここから先、単に「チャイ」と表記する時は「マサラ・チャイ」を指す。

 

入れるスパイスは、打っ切ら棒に言ってしまえば"適当"である。

色々な作り方があるが、本国の「庶民的な飲み物」というところから、スーパー等でも見かけるような比較的容易に手に入りやすいスパイスで作成していく。

 

材料

  • 先入れ
    • 八角(ホール)・・・1粒
    • シナモン(スティック)・・・1本
    • ローリエ・・・1枚
    • クローブ・・・4粒
    • カルダモン・・・6粒
  • 水・・・300ml
  • 牛乳・・・600ml
  • 茶葉・・・15~20g
  • 後入れ
    • 砂糖・・・30~50g
    • はちみつ・・・20~30g
    • 生姜・・・(チューブ/すりおろしの場合)小1

 

茶葉

茶葉は「ミルクティーにおすすめ」と書いてあるものを選べば間違いない。

飲み方としてミルクティーを推奨される茶葉は、ミルクに負けないどっしりとしたコクを持ち合わせる物がほとんど。

また、細かめのカットの方が表面積が広くなるため、濃く抽出しやすい。オススメはCTCという製法の細かな茶葉だが、見つからなければ種類や品種は問わない。

 

スパイスとハーブ

今回は中国~インドのスパイスをメインとし、手軽に爽やかさを演出できるローリエも参戦。

レシピでもまた紹介するが、そのまま用いるものと砕くものがある。この違いはクセを強く出したいかあまり出したくないかの差である。茶葉と同じく砕いて表面積が広がれば、それだけ特徴は強く出る。

 

これは東洋医学的な考えだが、秋冬には「体を温めるスパイスやハーブ」を用い、夏場には「体を冷やすスパイスやハーブ」を用いると良い。

有名なところだと生姜は体を温める食材となる。逆にミントは体を冷やす食材となる。こういった食材をプラスしていくことで四季を通してチャイを楽しむ事が出来る。

 

分量と比率

完成量900mlに対して、茶葉は15g、砂糖は30gとした。

ロイヤルミルクティーを作るときはもう少し多めにしても良いが、チャイとして煮出して作るときはやや控えめにする。茶葉の渋さがスパイスに勝ってしまわないようにしたい。

砂糖は「ほんのり甘く感じるな」くらいの分量。もっと本場に近づけるなら50gくらいまでブーストしても良いが、糖尿病が心配になる。

 

水とミルクの比率は1:2。分かりやすさ重視。

生姜をたくさん入れたくなるが、あくまで調和に重きを。

 

作り方

①スパイスの用意


まず、袋にクローブカルダモンを入れて砕く。瓶か麺棒か何かでぶっ叩く。

この時、お隣さんに怖がられないようにする必要がある。

クローブはちょっと砕けるくらい、カルダモンは中の黒いタネが露出するくらいまで砕く。

 

八角ローリエは強いスパイスなのでこのままの形で使う。

苦手だったら八角は半分に割って半分だけを用いても良いし、ローリエは無しでも良い。

 

シナモンスティックは半分に折る。

シナモンがお好きだったらシナモンパウダーを用いても良いのだが、あまりにシナモンの主張が強くなってしまうとそれはシナモンティーだと思っている。

今回は様々なスパイスの調和を楽しめるチャイにしたい。

 

生姜はチューブで良い。しかし、そろそろ旬を迎える生姜そのものを用いるのもまた趣きがある。

生姜を買ってすりおろすも良し、針生姜にするも良し、スライスして入れるも良し。こちらも細かさによって生姜の主張が変わる。

 

②スパイスを煮出す


手頃な鍋に300mlを入れ、スパイス*1も全て入れ、着火。中火より少し弱めくらいが良い。

 

このままお湯の色が変わってくるまで煮出す。鍋底からの泡でスパイスが動き、対流してくるようになってからだいたい2分くらいか。

煮出し過ぎると雑味も増えるため僕は時間を守るが、まぁ雑味もまた"味"である。そんな繊細な飲み物では無いので、この辺は適当である。

 

③茶葉を蒸らす

しっかり沸騰したこのタイミングで火を止め、茶葉を入れる。

紅茶を抽出するためのお湯は熱湯を用いるのがセオリー。最低限90℃以上にはしておきたい。

茶葉を入れたら蓋をして1分蒸らす。



水の状態から茶葉を入れるやり方もあるが、僕は断然沸騰してから派。茶葉の雑味は出したくないというか。

ロイヤルミルクティーを作るときの茶葉を入れるタイミングが沸騰後なので、それに準じた手法となる。ただ、伝統的なチャイの作り方では水の状態から茶葉を入れてしまうらしい。

 

④ミルクと合わせる

蒸らし終えたら牛乳600mlを入れる。この時に砂糖はちみつも入れる*2

砂糖は下限の分量でやれば適度な甘み、上限の分量でやれば本場の甘みとなる。何かしらのスイーツと合わせるならさっぱりめ、チャイだけでじっくり楽しむなら甘めが良いだろう。

 

ここで再び着火、砂糖やはちみつを溶かすためにゆるくかき混ぜておく。ガシャガシャかきまぜるとスパイスの雑味が出るのでサックリと優しく。

丁寧にやるなら作ったミルクティーを別容器へ移し、そこで完全に砂糖やはちみつを溶かしてから鍋に戻す。もしくはみそ汁の味噌を溶くように漉し網(ストレーナー)を用いても良い。



ここで弱火で2分ほど加熱する。

沸騰させるとエグみが出そうなので、沸騰させない方が良い気がする。

 

完成したら、なるべく早めに漉す。

そのままスパイスや茶葉を浸けっぱなしにしておくとどんどん苦味やエグみが出てくるので注意。それはそれで味かもしれないが。

 

飲んでみる


お好みの茶器でいただく。紅茶は口の広い茶器で供する事が多いが、チャイに関しては細身の物を使った方がそれっぽいと勝手に思っている。

 

飲んでみると八角ローリエの爽やかな風味が駆ける。

クローブも香る。クローブは必須。入ってないとマサラ・チャイらしくない。

カルダモンも立役者。カルダモンも必須だなぁ。シナモンはそもそもミルクティーとの相性が良いため、もちろんチャイにもぴったり。

生姜は入れすぎ注意。一歩間違えるとはちみつジンジャーティーになってしまう。

 

紅茶ではあるが、ヨーロピアンな雰囲気は無く、アジアンな雰囲気が漂う。

ミルクティーではなく、チャイと呼ぶべきものとなった。

これからの時期、体を温めるのに重宝するかもしれないマサラ・チャイ。色々なスパイスを足し引きしながら、お気に入りのブレンドを見つけてみては。

 

*1:生姜も入れる。チューブやすりおろしを用いる場合は牛乳と同じタイミング

*2:チューブやすりおろしの生姜を用いる場合はこのタイミングで入れる