初鰹の季節だ。
鰹の獲れる時期は大きく二つあり、春に獲れる物を初鰹と言い、秋に獲れる物を戻り鰹と呼ぶ。
春の初鰹の方がさっぱりしており、秋の戻り鰹の方が脂が乗っている。
加工品である鰹節としても非常に身近な魚であり、生で食べてもタタキにしても美味である。
温暖化などの影響もあるため若干揺らぎがあるが、だいたい5月に獲れる鰹を初鰹と言う。
鰹に限らないが"初物"というのは縁起が良いとされ、特に江戸っ子は初物を好んだとされる。やれ「初物を食べると七十五日長生きする」だの「初物を法外な値で競り落とす」だのと熱狂していたらしい。
そんな初鰹を、今回はなめろうにしてみる。
普通は鯵で作ることが多いが、鰹でもおいしく作ることが出来る。
材料(2人分くらい)
- 鰹・・・1冊(≒250g)
- 長ネギ・・・8cm分くらい
- 生姜・・・1かけ
- 味噌・・・大さじ1.5
- 青じそ・・・数枚
鮮度が重要となる。
足の速い*1種類の魚をいかにしてサッと食べるか、というところから考案されたであろう漁師メシである。
そのため、作成はスピーディーに。鰹より先に薬味を刻んで準備しておく。
なめろうは千葉県の郷土料理として知られ、船上で調理していた背景から醤油ではなくタレにくい味噌を用いたとしている。
なめろうという名前は「皿を舐める(舐めたくなる)ほど旨い」から来たとされ、粘りが強いところから「舐めないと食べられない」という意味も込められているらしい。
作り方
①薬味を刻む
- 長ネギ・・・8cm分くらい
- 生姜・・・1かけ
先に薬味を準備する。
まずは長ネギ。
みじん切りにしたいので、まずはネギに切れ込みを数か所入れる。
その後、端から切っていけばみじん切りとなる。
続いて生姜。
洗って皮を剥く。
その後、みじん切りにする。
神経質に細かくせずとも後で鰹と一緒に敲くので問題無い。
大きな片があってもそれはそれで異なる食感が入って楽しい。
②鰹を切る
- 鰹・・・1冊(≒250g)
まな板を清潔にし、鰹にご登場いただく。皮と骨があれば除いておく。
まずは1cm程度に切りつけていき、その後縦横に細かく刻んでいく。
一旦これくらい。マグロの山掛け丼を作ったりバラちらしを作ったりするときのサイズ感だ。
③混ぜ合わせる
- 刻んだ鰹(②)
- 刻んだネギ、刻んだ生姜(①)
- 味噌・・・大さじ1.5
先ほどの刻んだ鰹の上にネギと生姜を乗せる。
ここにさらに味噌大さじ1.5を乗せる。
塩味のある味付けは味噌のみなので、ここがキモとなる。
味噌は米味噌を使うと良い。麦味噌や豆味噌を使うとクセが強く出る。
これらを包丁を使って左右を持ち上げて上に乗せるようにして混ぜ合わせていく。
④敲く
鰹、薬味、味噌がある程度馴染んできたら包丁で敲いていく。
ある程度敲いたら包丁で端をすくって上に乗せ、再び敲く。
また敲いてはすくい、
上に乗せる。これを繰り返す。
だんだん粘りが出てくるので、まるでハンバーグのタネを作っているかのような気分になってくる。
この"粘り"が出たあたりで完成。もうすっかり混ざり合っている頃だろう。
あとは器に大葉をあしらい、なめろうを盛り付けたら完成。
ごはんにも合う、酒にも合う。茶漬けにするのも良い。
普通に食べる刺身も美味だが、ひと手間かけて味わう生魚もまた美味である。
*1:腐りやすい、の意